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Illuminated Dogs 2023年

私は犬と親密な生活を送ったことがない。

小学生の頃「世話するから」と約束して拾ってきた子犬は数週間後には父親が散歩していた。19歳で実家を出るまで同じ敷地内で暮らしていたけど(外飼いだった)、なんとなく距離があったのを覚えている。

街なかですれ違う散歩中の犬と飼い主。その背景には、共に過ごす長い時間が凝縮されている。飼い主は朝夕の散歩をはじめ身の回りの世話を毎日やっている。マメさと愛情、飼育場所、生活の余裕…色々な条件が揃わないと犬を飼うことはできない。憧れ尊敬する反面、自身にできないからこそ畏怖の念を抱いている。

 

ここ1,2年の間、夜に光る首輪を付けられて散歩している犬を見かける。犬をピカピカに光らせるポップな見た目と「危険から飼い犬を守りたい」飼い主の愛情が入り混じる、人間的かつ現代的な光景だ。

 

「犬が光るって超ポップ!」と単純に見た目から撮影したいと思った。知り合いの伝手を頼って8頭の犬を撮影させてもらった。間近で体感した犬と飼い主の関係は私的であたたかく、気持ちの良いものだった。全犬からご主人大好きな気持ちが伝わってきて、人が犬と生活を共にしたい気持ちが少しわかった気がした。

 

私はこの世界にある「いとしい」のかたちを探している。私が彼らになることはないけれど、犬と飼い主のいい関係−当たり前の日常がそこらじゅうに確かに存在している。世界は今日も美しいものを見せてくれる。

あめくん、アロヒちゃん、アンジェラちゃん(息子夫婦のジュールくん、ムーランちゃん)、サミュエルくん、ダイヤくん、茶々ちゃん、ピョルちゃん、ベッキーちゃん、ご家族の皆様 あたたかいご協力をいただき、本当にありがとうございました。

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